【感想レビュー/ネタバレなし】最悪なる災厄人間に捧ぐ【PS4/Switch】

2018年8月23日にPS4用で発売され、その後2018年9月20日にSwitch/iOS/Androidでも発売されたノベルアドベンチャーゲーム「最悪なる災厄人間に捧ぐ」

本作の大まかなあらすじは
「主人公の豹馬は『生き物の姿と音を認識できない』という症状のため、精神病院に入院していた。人間を視認できず、病院で孤独な日々を過ごしていた彼はある日、公園で『姿や音を認識できる少女(クロ)』に出会う。彼女もまた、自分の存在に気付いてもらえない『透明人間』であったため、孤独な日々を過ごしていた。そして豹馬とクロは、お互いの存在が必要であると感じ、二人で助け合いながら『普通の人間』の生活を送ろうと奮闘する」
といった内容です。

この記事では、「最悪なる災厄人間に捧ぐ」の個人的評価(ネタバレなし)を書きながらどういった方におススメか?を紹介します。

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全体評価

個人的に本作は「続きが気になる鬱ゲー」でした。

序盤の辛い鬱展開に心が折れそうになるものの、読み進めるうちにストーリーが急展開を迎え、どんどん次が気になり、気づけば徹夜でストーリーを読み進めていました。

制作会社のケムコさんは過去に「レイジングループ」というノベルベームを出されていて、レイジングループのような大作を期待して購入しました。しかしレイジングループとは話の雰囲気が全く違い、最初の方は戸惑ったものの、最後までプレイして「いいゲームだった」と心の底から思えるくらいの読後感がありました。

かなり人を選ぶゲームだと思いますが、ストーリーもボリュームも読み応えのある良ゲーでした。

良かった点

ストーリーが凄い

あらすじを読んで分かる通り、本作は奇抜な設定が多いです。

「生き物の姿や音が認識できない」「主人公には見える透明人間」といった設定以外にも、「パラレルワールドのヒロインが登場して、お互いの世界を行き来しながら主人公を介護する」、「悪霊に取り憑かれて災厄人間になる」など、クセの凄い設定のオンパレードです。
(その他にも奇抜な設定があるのですが、あまり書きすぎるとネタバレになるので、ここまでにします。)
とにかく、あらすじを簡潔に説明できないくらい、独特な設定が複雑に絡み合っています
にも関わらず、それらの設定全てに意味があり、読み進めると伏線がきれいに回収されます

また、登場人物が基本的に主人公とヒロインの二人しかいません。にも関わらず本作は100万字ものボリュームのあるシナリオになっています。文庫本1冊あたりが約10万字なので、文庫本10冊分のボリュームがあります。
これほどボリューミーになったのは、独特で複雑な世界設定以外にも理由があります。それは、「小学生から高校生になるまでの二人の成長を追体験する」からです。そのため、二人の内面や精神的な成長部分が鮮明に描かれています

上記のように、本作は質と量を兼ね備えた濃厚なシナリオのため、読み終えると「この後の二人の展開を教えてくれ!」と思うほどに話にのめり込んでいることでしょう。

ヒロインがかわいい

ヒロイン・クロの可愛いさも本作の魅力です。主人公に献身的に尽くす姿は見ていて癒されます
その上、パラレルワールドのクロも登場します。彼女たちは始めは似たような性格なのですが、成長するにつれてそれぞれに個性が現れます。王道ヒロイン的なクロ、知的で大人っぽいクロ、ボーイッシュなクロ、天真爛漫なクロ、おっとりしているクロ……。違って見える彼女たちですが、「主人公の豹馬が好き」「泣き虫」などの本質的な部分は同じです。そのため、クロの色んな一面を知ることができ、彼女たちに愛着が湧いてきます。
またクロの声も可愛く、幼少期のクロと成長した後のそれぞれのクロとで声優さんが同じなのですが、演じ分けが上手で、それぞれのクロの可愛さが引き立っています。

気になる点

鬱要素強めな展開

本作の主人公とヒロインの境遇が不憫すぎるため、全体的に鬱な要素が強いです。
しかも「いじめ」や「虐待」など、私たちの身近にも起こっていそうなリアルさのある鬱展開なので、ヒトによっては胸糞悪く感じるかもしれません。物語が急展開を迎えた後もシリアスな展開は続き、終盤になるまでは基本的にシリアスな展開が多いです。
ですが序盤の鬱展開を受け入れられれば、中盤以降の急展開していくシナリオと主人公の心の成長に目が離せなくなります。

シナリオ分岐がほとんどない

本作のシナリオ分岐はほぼ無いに等しいです。エンディングはトゥルーエンドを含めて8つしかなく、バッドエンドはどれも即死エンドです。約30時間くらいのボリュームがあるノベルゲームなのに、分岐やエンディングが少なすぎるため、「ゲームとしての楽しさ」はあまりありません。
ですので、ノベルゲームで「色んなエンディングを見るのが好き」という方にとっては味気なく感じるかもしれません。

どんな人におススメか?

鬱展開が好き

本作は結構鬱要素が強めの作品です。
主人公やヒロインの境遇の救いの無さに、心が砕ける方もいるかもしれません。
ですが本作の魅力は、そんな救いのない境遇の二人が、それでも前を向いて生きていこうとする、ひたむきさにあります。
ひたすら病んでいくだけの話ではなく、むしろ物語が進むにつれ二人の力強さに元気をもらえます
なので、「とことん鬱になりたい人」よりかは、「鬱展開も好きだけど、シナリオ構成の高い作品が好き」という方向けの作品です。

ノベルゲームが好き

本作は、ただひたすら小説のように読んでいくだけのゲームです。
そのため、ノベルゲームが好きな人でないとおススメできません。
ただ、本作は分岐が非常に少ないため、ゲームというよりかは「常に挿絵がある小説」を読んでいる感覚の方が近いです。そのため、ノベルゲームが好きな人でも「選択肢を選んで様々なエンディングを見るのが好き」という方は、その点を考慮してからプレイすることをお勧めします。

まとめ

鬱展開が好き
小説やノベルゲームが好き

そんな方におススメのゲームです。
当てはまる方は是非、買ってプレイしてみて下さい。

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